想いの欠片  sample2(本文内一部頁)


ベッドで上体を起こしたマルコに跨るように乗ったエースの唇を、下から掬う。何度か角度を変えて触れた後に、マルコの唇に開くように誘導され唇を裂かれた。
「……っん、ん」
隙間から潜り込んできた舌が口蓋を舐めてからエースの舌へ触れる。瞬間、躊躇われたのはただのキスだってもう一ヶ月半以上ぶりになるからだろうか。

伸びる腕の先はマルコの首。同時に頭の後ろへ回された手によって、ますます深く重なり合う。
掛け布団に阻まれた距離がじれったい。そう先に思ったのはどちらが先だっただろうか。

唇は変わらず塞いだまま、エースの腰を支える手もそのままに頭を押えていた手が布団を捲って、その中へと揃って潜り込む。そうなれば、今度邪魔扱いされるのは衣服だ。
「は……っ、セックス、すんの…?」
自然と衣服に手を掛けたマルコにエースは、顎を引いて顔を離す。片手をマルコの顎に当てて、再び触れてこようとする唇を止める。
「お前も、溜まってんだろい?」
ズルい男だ。膝を上げて、わざと股間へ擦るように動かしてくる。
「あんたは、そういう脳しかねぇのかよ」
「安心しろい、お前に対してだけだよい」
長い眠りからようやく覚めたのだというのに、言ってる事もやってる事も全く変わらない。それは、喜んでいいものなのかも分からないが。
マルコに塞がれた唇を、抵抗出来ていないのが答えなのかもしれない。

「……っんァ、あ、ま……っン」
マルコの足に跨ったまま、エースとの腹の間で熱を猛らせていた。
「後ろ。キツいねい?一ヶ月半なにもしてなかったのかい?」
以前は毎晩のように重ねていた身体を、突然に奪われた身体を慣らしてくれる者など何処にいたというのか。
中指を一本奥まで呑み込んだところで、口はきつく閉ざされ苦しそうに息を吐く。
しかし、後ろだけに与えられる刺激に中枢で悦楽に変える事は麻痺していなかったようで、陰茎には一切マルコの手は触れられていないというのにこの反忚である。
「こんなんじゃ、おれの挿れらんねぇぞい」
「ぃ、や……っだぁ、あっ、あ」
「中ヒクつかせてないで、口緩めろよい」
藻掻くエースの手が、マルコの手に捕まれてしまえば、それをきつく握り込んでしまう。
「それにしても、なんだいこの反忚。もうイけそうじゃねぇかい」
意地の悪いことを言うのマルコは、セックスをする時のみの特徴である。それに躾けられたエースは、自身も知らないところでそれに悦ぶように身体を変えられてしまっているのだ。

「なぁ、エース」
先走りを零す親指先で軽く押し潰されて、反らした腰をビクンと跳ねさせた。
「指だけでイくかい?」
左右に頭を震わせたエースは、喉を鳴らして喘ぐ。
「十分イけそうだがねい…?」
先を塞いでいた親指が、つつっと筋をなぞり震えるエースの反忚を見て、マルコは満足気に舌を舐めずった。
「は、あっ……ぁあ、あっ、ま、るこ…ッア」
熱の中心へ意識が向けば、緩んだ後孔へマルコは言葉もなく人差し指を差し入れた。
「ひぃ、んっ……はっ」
「思い出してきたじゃねぇかい」
掻き回しながらゆっくりと奥まで潜らせて、マルコの二本の指は易く呑まれた。
「ここだろい?」
ぐりぐりと揃えた二本の指に前立腺を押し込めれば、エースが訴えるように喉を反らす。

「ぁっ、あ、アッ、……あ、」
閉じる事が出来なくなった唇からは留めどなく喘ぎ声が漏れ、口端からは快楽に溺れて唾液が垂れた。
敏感になった肌は、背中に擦れる掛け布団にさえ誤った情報を中枢へ伝える。
「おれの指はうまいかい?」
マルコの言葉は、食むように開閉する後孔の反忚のせいだろう。
痙攣を増したエースの唇にマルコは自分の唇を重ね合わせて、追い詰めた。息苦しく、逃げようとするエースの顔を追う。
自分の昂ぶりを挿れてやるまで、エースの熱の解放が保たない事もマルコは分かっていた。腰が、自分のイイところへ指が当たるように艶めくのもどうせ無意識のうちなのだろう。
「ほら、イけよい」
唇に直接伝える。もう一度先から根元まで撫で下ろし、強く絞り込んでやると四肢をガクガクと震わせたエースが、中に挿れた指を締め付けて二人の腹の間で熱を放出させた。

「ぁあ、………ッン―――…」



(
本文内一部頁)