Your voice sample2(本文内一部)
「貴大」
いつも以上に低いトーンで出たその声に貴大はようやく自らの状況を把握したのだろう。
抱き上げられた貴大の身体は今、自分の膝の上で逃げられないよう自分の腕に腰を押さえられているのだ。
まるで恋人同士でもあるかのような体勢に貴大は短く「えっ、え、あっ、え」と動揺したような声を繰り返し顔を徐々に顔を茹で上げていく。
「悪いが、今日はお前を素直に寝かせられない」
オレの事好きなのか、それともそうではないいのかとか、本当は一番に考えていなければならない部分を自分の小心者具合から確認する事すらできていなくて、再び唇を重ね合わせた。
親指で貴大の顎を下げ口を開かせ、そこに舌を差し入れる。
逃れようとする貴大の頭を押さえて深く絡ませわざと水音を立てる。そんな事に煽られる欲望は素直だ。
「ふ……っ……」
甘い息を吐いた貴大の表情を見れば、決して拒絶しているようにも見えないから自惚れてしまうんだ。シャツの裾から素肌を探るように手を滑らせて脇を触って唇を離した。
手が肌に触れた瞬間、真田はびくっと肩を跳ねさせて、しかし比護の目を真っ直ぐ捕らえる。
「逃げるなら今だぞ」
本気で嫌だと拒絶をされれば、もうこれ以上オレは何もしない。そう思っていたのに、貴大は自分の予想を反す言葉を返してきたのだ。
「もっと名前を、……呼んでください」
逃げるのではなく、拒絶でもない。肯定と捉えていいのか迷うその言葉を伝えるのに腕で口元を隠し貴大の顔は真っ赤のままだ。
何がそんな反応をさせているのかが分からなかったが、それでもこの男がそれを望むなら、それだけでいいなら耳元に唇を寄せてとびきりの思いをてんこ盛りに伝えてやろう。
「貴大……」
自制はもう効かないのだと、この瞬間に悟る。
ゆっくりとその身体をベッドに押し倒して、もう一度触れるだけのキスを一つ落としてから、服に忍ばせた手がすぐさま貴大に快楽を与えるべく昇って胸の中心を狙った。
さすがに彼もプロの選手だ。身体には程良く筋肉を付けている。が、胸の厚さも腕の太さも腕力も比護の方が断然逞しい。唯一真田が比護を負かすのが瞬発力だ。
だからこそ貴大は本気で逃げようと思えばいつのタイミングだって逃げられたはずなのだ。
それでもまだこの場で自分に組み敷かれている貴大。
もしそれがわざとだとすれば性質が悪いが、今の反応から見る限り到底そんな狙った誘惑が出来るはずもない。これからされるであろう事が分かりながらも、触れられることに初心で反応が一つ一つ大袈裟だ。
そんなところが尋常じゃなくかわいい。
「……っは、」
女も男も共通の性感帯になるのか、左の乳首を親指で押し潰してみただけで真田は熱い息を吐き出して困ったように眉を垂らした。今まで他人に触らせたことはない身体だという事はそれだけで十分に分かる。下手をすれば、こういう行為自体初めてか。
首元に顔を埋めて舌で首筋をなぞり、そして消えてしまったキスマークを再び残すように吸い付くと力が入った肩が比護の行為を妨害した。
「そう緊張するな」
一つ赤い跡を残しただけで邪魔をされてしまい、仕返しに服の中できつく乳首を摘んでやると貴大は背をしならせて襲いかかる快楽に堪えているようだった。
「やっ………」
更に、下の方で掴まれ制止させられた腕も指先で腹を掻き指での愛撫を諦めると、先に自分がシャツを脱ぎ捨ててもう一度唇を塞いだ。
「あれもダメこれもダメでは何も出来ない。手離せ」
唇をほんの僅か離したところで諭すように言うと真田は恥ずかしそうに唇を噛み、頬を紅潮させたまま頷いてみせる。それを確認してから真田のシャツも脱がせると唇を首へ移動させ、舌を這わせながら下へと降りていく。
これまでも試合やシャワールームでこの身体を直に見たことが無いわけではなかった。しかし自分の手によって確実に反応を示し、両胸に赤く成した乳首を露わにしているその姿は艶めかしさが増し、比護もたまらず舌を舐めずった。
「堪らない……」
自然と零れた言葉を合図に顔を真田の胸に下ろして、ぷくりと膨らんだ乳首に吸い付き、乳輪から丁寧に舐めてやってから歯で引っ掻き、舌でつつく。
「や、やぁっ………っあ、ン」
漏れる真田の喘ぎ声に顔を上げてもう片方の乳首を親指と人差し指で挟みきつめに捻ってやると、膝をビクッと大きく跳ねさせて、真田は腕でその口を覆った。
「乳首が気持ちいいのか?」
尋ねるとその反応とは反して頭を大きく左右に振り、どうやら真田は今までに出したことの無い自分の声に戸惑っているようだった。腕を咬んで必死に声を堪える姿は酷く悩殺的であり、チームの仲間、同じポジション、なにより男である貴大を組み敷いている背徳感に駆られながらも心が焦れる。
貴大の全てを知りたいと。
(本文内一部)