-Though it did not know even the birthday-
(Happy Birthday Marco Short Story)
「ふっ、ざけんなよっ」
拒否なんていくらでも出来たはずなんだ。拒絶ならいくらでも出来たはずなんだ。
そんな酔っ払いのおふざけ事なんて。
なんでなんでなんでなんで。
それを防ぐ盾だって金槌と交換に常に自分の傍にある。青い炎を持つ相手には効かなくたって、その場をしのげる炎くらいは出せたはずだ。
心搏音を隠そうとするだけ声量が増す。思考はただ同じ事をぐるぐると周り、オヤジに振る舞われた酒の味はもう思い出せないのに、触れた唇の感触だけが唇と心臓に痛く残る。
初めてのキスだったのに。
顔を覚えきれない程のここの家族に囲まれ宴をしているとき、ふと空と海の暗さに誘われる事がある。この場が楽しくない訳ではない。ただその海に自分を重ねてみたくなる。
誰かの為に存在しているのだろうか。誰かに必要とされているのだろうか。人々の心許ないほんの僅かずつの攻撃に薄汚れてしまった自分を、愛してくれている人は居るのだろうか。
何度問い掛けてもその暗い暗い海は応えを返してくれる訳もない。
持っていた酒を煽り宴へ戻るかと振り向いた時、彼はすぐそこに居た。
「なにしてんだい」
昼の空と海と似た青色を持つマルコ。
「いや別に。夜の海が見たくなっただけ。今戻ろうと思ってたところだよ」
いつかその能力を羨ましいと感じたこともあった。家族に頼られ、他人を守れる力を持つマルコに憧れを抱いていた自分もいた。
夜の海は、昼の海に憧れていた。
それを表していたつもりでなかったのだが、顔に出ていたのだろうか。
「そんな顔すんなよい」
直後、優しく熱が触れていた。
緩んだ手からジョッキが落ちていたのも気づくのに遅れる程に。
特別な感情を抱いていた相手に。
ふざけるな。
ふざけるな。ふざけるな。
「な、にしてんだよっ……」
「…少し酔っ払ったかねい」
酔っ払いの想い人からそんな事をされたって。
1ミリたりとも嬉しくねぇんだっ。
「エース、どこ行った?見つかったか?」
先に宴へ戻ったマルコの姿をサッチが見つけるなり、並々酒が注がれたジョッキが差し出す。
「酔っ払ったから部屋帰るってよい」
「そうか残念だな、お前の誕生日なのに。まぁマルコ今日くらい飲めよ」
「ああじゃあ一杯だけ頂くかねい」
それを受け取るとマルコは本日最初の酒を喉へ流した。
その宴の演目を、その時エースは知らなかった。
部屋へ帰っても電気も点けず、倒れこむようにベッドへ身を置いた彼はマルコの行動の真意も掴めず、なにかを捕えてるではない視線をずっと木目の天井へ向け、ただ体内を駆け回る血液の流れの早さだけを感じていた。
どうしようもないくらい、好きになっていたんだ。
酔っ払いの感情の無いキスが悲しい程に、好きになってしまっていたんだ。
気持ち悪い。自分。家族にこんな感情抱いてる自分、変で笑っちまう。
腕で視界を伏せ、思考も閉ざす。
眠れないと唸ったのも僅か1分程度。
姿が見えないと心配した二番隊の家族が覗きに来た時には既に寝息を立てていたという。
エースがマルコの誕生日を知るのはその目を再び開いたあと。
「え?」
-*END*-
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突然終わる。
そして全然happyでないマルコの誕生日記念。
両片思いとか好き過ぎて^^
ともあれ大変遅くなりましたが。
*Happy Birthday Marco*